旅行会社こぼれ話 第34話 |
バンコク再発見①
東洋のベニス?バンコクノーイ運河巡り
6月某日の週末、バンコクは雨期に入り天候に恵まれない日々が続いていましたが、今日も生憎の曇り。雨が降らなければいいなと願いつつ、チャオプラヤ川最大の船着き場、「ター・チャン」に到着。船着き場には船会社が数社あって、2時間のコース1,500バーツで1隻チャーターしました。
いざ出航!今日の行程は、バンコクノーイ、タリンチャン水上マーケット。雨期始めのチャオプラヤ川の流れはけっこう速くて、波も決して穏やかではありません。船酔いをする方は酔い止めの服用をお勧めします。結構揺れます。行き交う大型船舶や、高級ホテルのリバークルーズ船を交わしながら、チャオプラヤの眺めを満喫する間もなく、幅十数mの細い運河へ突入!
待ちかまえたのはワンダーワールド、まさにもう一つのバンコク。家の軒先には郵便ポスト。繋留された動力のない自家用舟。水遊びをする屈託のない子供達の歓声。運河交通に頼って日常生活を送る、飾らない住民の姿がそこにはありました。お寺、学校、病院はもちろん、雑貨屋、薬屋。脇には数メートル間隔で電柱が立ち並び、交差点もあります。信号機とコンビニがないだけで、まるでバンコク中心部のソイ(路地)の中を車で走っている感覚。数十年前まではスクンビット通りのトンロー一帯も運河だったと聞いたことがありますが、きっとこんな感じだったのでしょう。
いにしえのバンコクに思いを馳せていると、行商(水商?)のおばさんが小舟を必死に漕いで近寄ってきました。おばさんの舟をのぞき込むと、どうやったらそういうラインアップになるのか、果物、ガイヤーン、観光客向けの絵葉書、歯磨き粉など。買う価値のあるものは皆無だったので、丁重にお断りして、記念に写真をパチリ。指を1本立て「1枚100バーツ」と英語で返ってきました。うーん、逞しい。
程なくすると最初の目的地、「タリンチャン」に到着。ここは最近開発された水上マーケットだそうで、あの有名な「ダムヌンサドアック」とは較べるようもなく規模が小さいです。肝心の物売りの舟は数隻と拍子抜け。しかし上陸すると奥には、魚や蟹、エビを焼く屋台の香ばしい匂いが辺り一帯に漂い、レストランや売店がずらり!週末の家族連れのタイ人でごった返していました。地元の人に交じって、チャオプラヤの幸に舌鼓をうつのも“おつ”かもしれませんね。
ゆったりとした運河の旅は続きます。のどかで、贅沢な時間。こういうのもいいなと思わず納得です。しばらくすると前方に大きな水門が!水位調整用でしょうか?規模は全然違いますけど、思わず「パナマ運河」を連想しました。この水門を抜けると前方にチャオプラヤの雄大な流れが出現、そして合流とあいなりました。ター・チャン船着き場への帰路、船頭さんの粋な計らいで、ワットアルンに立ち寄りました。ワットアルン頂上から高層ビル群を背景にゆったりと流れるチャオプラヤを見渡すと、ここが「東洋のベニス」と称される所以がなんとなくわかったような気がしました。本当かな(笑)。
僅か2時間の運河ツアー。是非利用されてはいかがですか?時には喧噪から離れるのもいいもの。バンコクを代表する観光地巡りでは味わうことの出来ない驚きや再発見があなたを待ち受けています。本当かな(笑)。